PCケースのサイズで選ぶデスクトップBTOパソコン

■デスクトップの大きさと用途

デスクトップパソコンはノートパソコンよりも高性能ですが、実際の性能はケースの大きさと中に入れるパーツの性能によります。

単純にデスクトップであればどれでもノートより高性能というわけではありません。

デスクトップの性能で重要になってくるのがPCケースの大きさです。
基本的にはケースはただの入れ物で、パソコンの性能に直接は関わってきませんが、ケースが大きいほど高性能なパーツも搭載しやすくなり、小さいケースでは搭載できるパーツに限界があります。

パーツの大きさと性能の関係を簡単にいってしまうと、高性能になるほど発熱量が大きくなり、大型の冷却機構が必要となります。

また、ケースの大きさもパーツが物理的に入る以外に、熱の許容量という問題も関係してきます。
小さいケースに発熱の大きいパーツを搭載すると、すぐにケース内部が高温になってしまいますが、大きいケースでは熱が充満する前に排熱してケース内部をパーツ動作の許容範囲内に保つことができます。

メンテナンス性という点でもケースの大きさは関わってきます、理由は単純で内部が狭いケースだと手を入れて作業もしにくいという点です、さらに、小さいケースは1つのパーツを交換する時に、他のパーツにあたってしまうこともあり一旦バラしてから目的のパーツを交換という手間もあります。

こういった拡張性、冷却性、メンテナンス性などの要素が絡んだケースとそれに応じたデスクトップパソコンの大きさについてご説明します。

■ミドルタワーのデスクトップ

ミドルタワーは一般的には大きく感じるかもしれませんが、自作市場ではもっともポピュラーなサイズです。
BTO市場でも人気が高い大きさで、いろいろなモデルが販売されています。

拡張性、冷却性、メンテナンス性の三拍子が揃った大きさで、普及率の高さから価格も控えめでコストパフォーマンスも優秀といえます。
ケースだけでなく、中に入るパーツの大きさを選ばないことから、価格と性能のバランスも良く、パソコンとしての性能の面でもミドルタワーサイズのパソコンはコストパフォーマンス優秀といえるでしょう。

難点を挙げるとするとやはり大きさでしょう、いくらBTOや自作市場で標準的な大きさとはいえ、国内メーカーの液晶一体型パソコンを見慣れた人にはかなり大きく感じるサイズです。
「標準的なサイズ」と聞いて安心して注文し、届いた実物の大きさを見て驚く羽目になりかねません。

ミドルタワーのパソコンを見たことがない人は、できる限り実物を見て、どこに設置するか考えてから注文したほうが無難でしょう。

ミドルタワーサイズのパソコンは自作市場で人気ということもあり、ショップブランドBTOに魅力的なモデルが揃っています。

一部オススメを紹介すると

・ツクモ eX.computer AeroStream
・サイコム RadiantGZ
・ドスパラ Prime Monarch

これらのミドルタワーのモデルはどれもコストパフォーマンス優秀です、どのショップもさまざまなモデルを用意しているのでベースのモデルを選ぶ時点で楽しく、カスタマイズで理想的なパソコンを作るのにも向いています。

自分の手ででもいじりやすく、購入した後もカスタマイズを楽しめる使いやすさもあります。

■ミニタワーのデスクトップ

ミドルタワーから高さを低くし、奥行きをやや短くしたのがミニタワーです。
横幅はミドルタワーとほぼ同じため、搭載できる拡張パーツはミドルタワーとほとんど変わらず、そのため性能もミドルタワーに準じた性能を持っています。

性能はあまり変わりませんが、小さくなったしわ寄せがどこに来ているのかというと、拡張性です。
搭載できるパーツ自体はミドルタワーとほぼ同じですが、拡張性に関わるマザーボードがワンサイズ小さい大きさとなります。
ケース自体もパーツを取り付ける「ドライブベイ」などの数が少なく、特にHDDの搭載台数などはミドルタワーと比較すると大きく劣ります。

このように、拡張性はさておき、本来はミドルタワー並の性能を持てるミニタワーですが、BTOパソコンとしての実情はミドルタワーモデルの下位に位置する性能を持ったモデルばかりとなっています。
そのため、ミドルタワーモデルよりも性能は控えめですが価格は安くなっており「安くて実用的なスペック」なのはこのミニタワーに多くあります。

5万円弱、4万円弱、そのあたりの価格で探しているのならばミニタワーモデルがお買い得でしょう。
ミニタワーのモデルはショップブランド、メーカー製共に数多くあります。

・ドスパラ Prime Knightシリーズ
・エプソンダイレクト ミニタワーモデル
・マウスコンピューター LUV MACHINES

以前はこの価格帯はメモリ不足が目立ったりしていましたが、現在は実用十分なメモリを搭載しており、事務用やネット用などで動作速度を気にせず利用できます。
拡張性が低いといってもグラフィックボードや拡張カードも搭載でき、HDDも2台程度は問題なく搭載できるため、一般的には全く問題ないスペックといえます。

■スリムタワーのデスクトップ

スリムタワーはミドルタワー、ミニタワーと比較するとかなり小型になります。
スリムの名のとおり、横幅が半分以下の厚みになっており、拡張性もミニタワーの半分以下といえます。

拡張カードはスリムタワー用の「LowProfile対応」の背の低いカードしか搭載できず、特にグラフィックボードではかなり性能が制限されてしまいます。
ドライブ類の拡張は物理的にほぼ不可能、交換しようにも作業が難しいでしょう、メモリもスロット数が少ないことが多く、増設作業も機種によってはかなり難易度が高い場合があります。

このように拡張性には難がありますが、かなり小型になりますので、設置場所はミドルタワーやミニタワーほど選ばず置くことができます。
おそらく一般的なタワー型のデスクトップと聞くとこのサイズを想像する方が多いのではないでしょうか?

事務用で大量導入する場合にも向いており、最近はCPU性能が上がっていることから事務などでは動作速度も問題なく快適に作業ができるでしょう。

拡張性がなく、パーツの交換作業も難易度が高いので、あらかじめ必要なスペックにカスタマイズしておいて後でいじらなくてもいいようにしておくことをオススメします。

このスリムタワーは、事務全般をはじめとした、雑務をする業務用として活躍するため、法人向けモデルで非常に豊富にあります。

・NEC Mateスリムモデル
・DELL Inspiron スリムモデル
・マウスコンピューター LUV MACHINES Slim

法人向けということもあり、良く言えば手堅い、悪く言えば面白みが無い製品が多いといえます。
これらの製品では最近では省電力化のために、ノート用の2.5インチHDDを採用するモデルも増えてきています。

低価格な液晶セットモデルやOfficeインストールモデルなどもありますので、仕事での実用を考えている人はオススメです。

■フルタワーのデスクトップ

タワー型でもっとも大きいのがフルタワーです。
ミドルタワー以下の大きさと比べると、フルタワーは定義もあいまいで、ミドルタワーとあまり変わらない大きさから、かなり巨大なものまであります。

ミドルタワーと比較して、拡張性、冷却性、静音性などが向上しています。
メンテナンス性に関しては、確かに中の作業はしやすいのですが、ケース内が広すぎてケーブルの長さが足りないというようなこともありえます。

ミドルタワーと比べると個性的な製品が多く、ケースによって、拡張性を重視しているか、冷却性を高めているか、静音性に力をいれているかなどかなり個々の製品で違いがあります。
一概に「フルタワーだからこういう仕様だ」ということができない点が面白く感じる一方で、あまりケースに興味が無い人には大きいだけで何が違うのかわかりにくかもしれません。

言い換えると、フルタワーのモデルをラインナップしている、もしくはフルタワーケースをカスタマイズで選べるショップは、フルタワーのモデルにショップの個性が出るともいえます。

しかしながら、フルタワーを採用したモデルは、大体が最高性能を求めたハイエンドクラスです、価格もかなり高額なモデルになるので実際選択肢に入れるかどうかは微妙なところでです。

ケースをカスタマイズできるショップならば、ケースだけフルタワーにするという手もあります。
もちろん、ケースを変えただけではパソコンの性能は上がらないので、ケースを変えたことによってどう使うかまで考えておかなくてはいけません。

例えば、より多くのパーツを搭載するためや、よりケースの静音性を求めるためなど、フルタワーにする意味を考えておかなければ、大きなケースを持て余すだけになるでしょう。
もっとも、フルタワーで見た目が気に入ったケースがあれば話は別です、価格は高くなり大きさも扱いにくくなりますが、フルタワーにしておいても気に入ったケースを選ぶ意義は十分にあります。

フルタワーのモデルは、超高性能モデルを選ぶかもしくは、ケースのカスタマイズができるショップでカスタマイズして注文することになります。

・レイン フルカスタマイズモデル
・フェイス PASSANT Ex
・ストームテック Storm Excalibur

レインのフルカスタマイズモデルは、全てのパーツを自分で選ぶため難易度が高いですが、自由度も高いモデルです、マザーボードの拡張性も重要となってくるため、自作慣れしてる人でないと最適な選択は難しいので、数台BTOパソコンを渡り歩いて来た人向けでしょうか。

元からショップブランドでフルタワーのモデルが用意されている場合は1台目からでも問題はありません、その大きさを持て余さなければ、という前提は付きますが高い値段を出してでも高性能を求めるならば悪くない選択でしょう。

■小型ケースのデスクトップ

特別に大きいフルタワーのようなケースもあれば、特別に小さいケースを採用したモデルもあります。

まずは古くから認知されているキューブ型のケースです、自作用にもキットが多く用意されており、使えるCPUの種類にも幅があり、メモリの搭載量も多かったり、拡張カードも使用できたりと性能自体も高くすることが可能です。

次にさらに小型な薄型のコンパクトモデルです、大きさにはメーカーによって幅がありますがキューブ型の横幅を半分ぐらいにした大きさとなります。
こちらは拡張性は皆無でメモリやHDDの容量も少なくなりがちです。

どちらも後々のカスタマイズはかなり難しいので、可能な限りBTOで必要性能に近づけるようにカスタマイズしておくのがベターです。
最近は小型パソコンでもCPU性能が高くなってきているので、メモリの容量さえ極端に少なくなければ動作速度は問題ないでしょう。

オススメモデルは

・ツクモ AeroMini
・エプソンダイレクト Endeavor ST
・サイコム キューブモデル

小型モデルはメーカーによって結構見た目に差があります、必要な性能を確保できるのであれば、後は見た目の印象で選んでしまっても構わないでしょう。

■オススメの大きさ

デスクトップパソコンの大きさについて、大まかに特徴を説明しましたが、特にこだわりがないのであれば、ミドルタワーかミニタワーがオススメです。

価格と性能のバランスが良く、コストパフォーマンス優秀です、拡張性も確保されているので買った後にやりたいことが増えても対応しやすいという利点もあります。

さらにメンテナンス性も良好で、自分の手でカスタマイズしたくなった時にも作業がしやすくパソコンに詳しくなりたい人の勉強用にも最適です。

そもそもミドルタワー、ミニタワー以外の大きさとなると、大きさありきで選ぶことが多いので、わざわざオススメするまでもなくそちらを選ぶことになるでしょう。

ひとつ小型モデルを求める人にアドバイスをしておくと、小型のモデルを選ぶ時は後から融通が利かないのでBTO注文時のカスタマイズが重要と意識しておくと失敗することはなくなるはずです。

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