ハードディスクは、ドライブの中で、文字通り硬いディスクが回転しています。
その回転しているディスクの上を磁気ヘッドが飛んでおり、磁気でディスクにデータを記録していく構造となっています。
ディスクの記録面は、セクタという記録領域があり、この1セクタ1セクタにデータを書き込むのですが、このセクタにデータが読み書きできなくなることがあります、そうしたセクタを不良セクタと呼びます。
この不良セクタの発生こそHDDの故障です。
不良セクタが発生するとデータの読み書きができなくなり、OSの記録領域のような重要な場所に不良セクタが発生した場合は致命的な障害になる場合もあります。
不良セクタは隣接するセクタにも悪影響を与える場合もあり、不良セクタが発生すると徐々に故障した部分が広がる恐れがあります。
現在のHDDでは不良セクタが発生すると、そのセクタを破棄して、予備のセクタを代替セクタとして利用する構造になっていますが、不良セクタが増えてくると磁気ヘッドの消耗に繋がります。
稼動部も精密な構造で、ディスクを回転している軸や、磁気ヘッドが消耗してくると徐々に不具合が発生してきます、これらの消耗が原因で不良セクタが発生することもあります。
物理的な稼動部の故障や不具合が発生した場合は異音が発生することが多く、HDDの動作音も故障を測るバロメーターになります。
■Windowsの機能で不良セクタのチェック
不良セクタが発生すると、ハードディスクの挙動が悪くなり、OSの起動やコピーなどのファイルの転送が遅くなるという障害が発生します。
これらの前兆からの予測の他、不良セクタのチェックはWindowsの機能から行うことができます。
チェック手順は
1.Windowsのスタートボタンからコンピュータを(XP以前の場合はマイ コンピュータ)をクリック
2.コンピューターのドライブを右クリックして「プロパティ」を選択
3.プロパティの中の、ツールタブを選択し、その中のチェックするを選択
4.開いたメニューから、「ファイルシステムエラーを自動的に修復する」と「不良なセクタをスキャンし、回復する」にチェックを入れて開始
これでディスクのエラーチェックが始まります、OSのインストールされているドライブなど、現在使用中のドライブはすぐにはチェックできず、次回起動時にチェックされます。
この作業にはかなり時間がかかる(数時間かかることもある)ため注意しましょう。
■チェックしたセクタを確認
チェックした後に不良セクタがあったかどうかの確認です。
Windows Vista/7の場合は
1.Windowsのスタートボタンからコンピュータを右クリックで管理を選ぶ
2.管理画面、メニュー左側の、システムツール-イベントビューア-Windowsログ-アプリケーションを順に選択
3.メニュー右側の中から、ソース欄に「Wininit」の一番日付が新しいものをダブルクリック、イベントのプロパティが表示される
4.イベントのプロパティの説明欄、中段ほどに「Windows has checked the file system and found no problems」が表示されているか確認、表示が無い場合は再度ディスクのチェックを行う、この時は「ファイルシステムエラーを自動的に修復する」だけで良い
5.イベントのプロパティの説明欄に「0KB in bad sectors.」と表示がないか確認
Windows XPの場合は
1.Windowsのスタートボタンからコンピュータを右クリックで管理を選ぶ
2.管理画面、メニュー左側の、システムツール-イベントビューア-アプリケーションを順に選択
3.メニュー右側の中から、ソース欄に「Winlogon」の一番日付が新しいものをダブルクリック、イベントのプロパティが表示される
4.イベントのプロパティの説明欄に「0KB in bad sectors.」と表示がないか確認
Vista/7とXPは少し表示が違うだけで手順としては同じです。
「bad sectors」が文字通り不良セクタのことです、つまり0KB in bad sectors.ならば不良セクタはないということになります。
■S.M.A.R.T.情報からHDDの状態を知る
前述した方法はWindowsの機能を使って不良セクタの発生状況を知る方法です。
他にはHDDに記録されているS.M.A.R.T.を調べる方法があります。
S.M.A.R.T.とは「Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology」の略でHDDの自己診断機能です。
S.M.A.R.T.には不良セクタの発生状況、エラーの発生率、HDDの電源投入回数、HDDの電源ONになっている時間などが記録されています。
これらの情報はWindowsでは利用されていないため、HDDの診断ソフトなどを利用して調べることになります。
フリーウェア、シェアウェア問わず多くのソフトがあるのですが、中でも人気なのが「CrystalDiskInfo」です。
無料で利用でき、日本語でも使用できるため使いやすいソフトです。
HDDの健康状態が気になる人は一度試してみると良いでしょう。
■HDDの交換の前準備
これらの方法を使って、異常が見つかったHDDはすぐに不具合が出なかったとしてもあまりそのまま使うことはオススメできません。
異常が見つかった場合はデータのバックアップを取ってHDDを交換したほうが良いでしょう。
HDDの交換は、OSがインストールされているシステムドライブか否かで作業が大幅に異なります。
メーカー製のパソコンだと、メーカーによってはOSバックアップソフトが入っていることもあり、それを利用すると格段に作業が楽になります。
ショップブランドでも独自のOSバックアップソフトが用意されていることもあります。
交換前にあらかじめこれらのソフトでバックアップを取っておくと現在の環境をHDD交換後に簡単に復元できるため非常に便利です。
これらがない場合は、別途OSをバックアップできるソフトを用意するか、リカバリディスクもしくはOSのインストールディスクを利用し1から新しいHDDにOSを再インストールして環境を構築しなおすことになります。
手間はかかりますが、長く使っていた場合は、余計なものも増えているでしょうから、一度環境を整理するつもりで1から再インストールするのも悪くありません。
OS以外のデータに関しては、本体にHDDが複数台接続できるのならば、一時的に新旧両方のHDDをつないで古い方から新しい方へ必要なデータをコピーするのが楽です。
内蔵HDDをUSBで外付けできるケーブルやHDDケースなども販売されているため、これらを使うのもオススメです。
以前は主流だった、DVDなどのメディアにバックアップする手段は、最近ではHDDの大容量化に伴い、かなりのディスク枚数が必要になるためかなり面倒になっています。
1TBのHDDをまるごとバックアップをするには、2層書きのBlu-rayディスクでも20枚必要になり、安い1層のDVDでバックアップしようと思うと200枚以上必要です。
これらの、交換した後にデータをどうするかは、あらかじめ決めておきましょう。
後は、交換に適したHDDを準備するだけです。
■HDDの規格
一般的なパソコンで使用されているHDDの規格はSATAとIDE(UltraATA)がありこの2つは端子の形がまったく異なります。
SATAにも世代があり、現在はSATA3という規格です、SATAは世代により通信速度が違いますが、端子の形は同じで互換性があり、世代の違う端子に刺しても遅いほうの速度に合わせられる下位互換になります。
大きさも主に、デスクトップ用の3.5インチと、ノート用の2.5インチがあります。
これらも間違えないようにしましょう。
なお、2.5インチの機器は、別途3.5インチに変換するマウントアダプタを利用すればデスクトップでも使用可能です。
もっともこれは、HDDではなく2.5インチの製品の多いSSDに使用されます。
■HDD交換の手順
HDDの交換は物理的な手順は非常に単純です。
古いHDDを取り外して、新しいHDDを元通り接続するだけです。
HDDはミドルタワーやミニタワーでは、ネジ4本で固定されており、作業がしやすいケースなどではドライブレールという取り外ししやすい専用の器具を装着して取り付けます、ノートパソコンでもドライブレールを利用している場合が多いようです。
本体との接続はデータ通信用のSATA(またはIDE)ケーブルと電源ケーブルの2本だけです。
一部のノートパソコンや液晶一体型ではHDDを取り外すこと自体が困難な場合もありますので注意が必要です。
マニュアルに交換手順を記載しているメーカーも少なくないので、マニュアルを一度参照してみると良いでしょう。
■交換した後の作業
交換した後は、それぞれバックアップからデータを復旧することになります。
OSをバックアップソフトでバックアップしていた場合は、バックアップソフトの使い方に従って行えば大丈夫です。
個々のソフトにより操作は違いますが、わかりやすいソフトになっており簡単に行うことができます。
リカバリディスクやOSインストールディスクを利用する場合は、それぞれ指示に従ってパーテーションの作成、HDDのフォーマット、OSのインストールを行い、各種ソフトとドライバをインストールします。
この時、OSをインストールするHDD以外のHDDは取り外しておくのがコツです、目的のドライブ以外が接続されていると、どこにOSをインストールしたらいいのかわからなくなり、ややこしくなります。
OS以外のドライブ、データに関しては、HDDをWindows上でフォーマットした後に、古いドライブから必要なデータをコピーして作業終了です。