パソコンの動作がおかしいと感じたら

現在のマザーボードは非常に多機能で複雑なパーツです。
チップセットにはCPUとの接続、PCIなど拡張スロットの接続、USBやSATAの制御、その他もろもろの機能が、チップセットにない機能は別途チップを搭載しており、USB3.0やSATAの追加のチップ、オーディオチップ、LANコントローラなどもほぼ搭載されています。

これらの機能に加え、各機能や各パーツに安定して給電するために大量のコンデンサが搭載されています。

マザーボードの故障はこれらの機能の不具合だといえます。
機能も多岐にわたっているため、不具合と一言でいってもどこが不具合を起こしているのか非常にわかりにくいパーツです。

見た目で、コンデンサが膨らんでいたりチップが焦げていたりとすぐわかることもありますが、最近ではコンデンサ品質も向上しており、こういった一見して判断できる不具合はほとんどありません。

■あまり支障がでないことも

マザーボードの不具合はあまり支障がでないことも多いのが特徴です。
パソコンが起動不可能になるような致命的な状態を除けば、一部の機能が使えなくなるだけで、そもそもマザーボードは拡張スロットが搭載されていて、不具合が起きた機能の拡張カードを挿せばフォローすることもできます。

音が鳴らなくなったらサウンドカードを挿し、ネットワークに繋がらなくなったらLANカードを挿す。

SATAやUSBなどは複数ポートが付いており、使いきっているほど大量に機器を接続することもあまりないため、ポートが1つや2つ故障したところで空いてるポートを使えば問題ない場合もあります。

後述しますが、マザーボードの交換はかなり難しいため、可能な限りこれらの方法で乗り切るか、素直に修理に出したほうが無難です。

■マザーボードの規格

マザーボードの形状にはいくつかの規格があります。
規格にあったものでないとケースに搭載できません、また、メーカーの独自規格も多く、ノートパソコンにおいてはほぼモデルごとの専用設計でまず交換は不可能です。

デスクトップ用のマザーボードの一般的な規格は

・ATX
・MicroATX
・ExtendedATX
・MiniITX
・BTX

ATXがもっとも一般的なサイズで305mm×244mmという大きさです、これより少し幅が短い場合もありまずが、小さい分には搭載に問題ありませんが、使用するネジが少なくなるので取り扱いには注意が必要です。

MicroATXはATXの縦を短くしたようなサイズで244mm×244mmの大きさです。
こちらも幅が短い場合もあります、ミニタワーやスリムタワーの筐体にはこのサイズがよく使用されます。

ExtendedATXはATXより大型でサーバー、ワークステーションなどに使用されるマザーです、大きさは305mm×330mmとなっています。

MiniITXは超小型の規格で大きさは170mm×170mmです、ネジ穴の位置はATXと共通しているため、あまりメリットはありませんがATX用のケースに搭載することも可能です。
さらに小さなNanoITXやPicoITXもあります。

BTXはATXに続く規格として登場しましたが、普及することなく消えていった規格です。
現在ではDellがこのBTXに似た独自規格のマザーボードを採用しています、ATXとの互換性はまったくなく、独自規格のためBTXとも違った構造になっています。

■マザーボードの交換の問題

あらかじめ述べておきますが、マザーボードの交換はあまりオススメできません。
作業も非常にめんどうで、1からパソコンを組み立てるより面倒な作業となります。

基本的にすべてのパーツはマザーボードに接続されているため、それらをすべて取り外してマザーボードを交換した後に、再びすべて接続しなおす必要があります。
つまり、一度完全にパソコンを分解した後に1から組み立てる作業をするわけです。

交換できるマザーボードを入手するのもなかなか大変な作業です。
自作用のパーツが使われているショップブランドならまだしも、メーカー製だと独自仕様が多く、形が似ててもケースに入らなかったり、仮に入ったとしてもケースに大幅な加工が必要だったりとかなり障害が多いのです。

場合によっては、ケースとマザーボードを買ってきて、古いパソコンから新しい方へ全部パーツを移植するようなこともありえます。

CPU、メモリ、その他拡張ボード類などが、そのまま使えるマザーボードを探さなくてはならないのも面倒な点です。
マザーボードはチップセットなどの世代交代やCPUソケットの形の世代交代などが激しいため、少し古いマザーになると交換できるものが限られており、入手が困難な場合も多々あります。

そもそも、市販されているマザーボードはあくまで「自作用であって修理用ではない」ということを忘れないようにしましょう。

■マザーボードの交換手順

マザーボードの交換の前にあらかじめ、CPUグリスを用意しておきましょう。
CPUを外すため、再度取り付け時にグリスを塗りなおす必要があります。
他に、場合によってネジやスペーサー、ワッシャといったネジ類が必要になることもあります。

交換するマザーボードとグリスを用意したら作業開始です。

1.パソコンの電源を落として電源コードをコンセントから抜く
2.そのまま数分間放置して溜まっている電気を放電する
3.マザーボードに刺さっているコードと拡張カードをすべて抜く
4.マザーボードをケースに固定しているネジをすべて外す
5.マザーボードをケースから取り外す、ケースに付けてあるI/Oパネルも取り外す
6.マザーボードからCPU、メモリを取り外す

ここまでが取り外しの作業です。
小さめのケースの場合は手順4、5のあたりでドライブ類が邪魔になることがありますので、その場合はケースからドライブ類も取り外さなくてはなりません。

手順5で取り外すI/Oパネルはケースの付属品と思われがちですが、マザーボード毎によって種類が違いますので取り外す必要があります、忘れやすいので注意しましょう。

手順6のCPUとメモリの取り外しは先に行ってもかまいませんが、狭いケースの中より広い場所で行ったほうが作業は簡単になります。

取り外したら取り付け作業です

7.新しいマザーボードにCPUとCPUクーラー、メモリを取り付ける
8.マザーボードをケースに仮置き、ネジの位置を確認する、余計な場所にスペーサーが合った場合は取り外し、正しい位置へ付け替える
9.新しいI/Oパネルをケースに取り付ける
10.ケースにマザーボードを取り付ける
11.外したコード類を元に戻す
12.パソコンを起動しマザーボードのドライバをインストール

手順7でCPUクーラーを取り付ける際にグリスを塗り忘れないようにしましょう。

手順8で、ケースについているスペーサーというネジをつける金具の位置を確認します、余計な位置にスペーサーが残っていた場合、マザーボードが背面でショートして故障する場合があります、この時、1ヶ所を残してスペーサーとマザーボードの間にワッシャという絶縁素材を挟むようにしましょう。
1ヶ所だけ残すのは完全にマザーボードを絶縁するとマザーボードに静電気が溜まりやすくなってしまうからです。

手順9のI/Oパネルは忘れやすいので注意が必要です、マザーボードのバックパネルに合わせて折り曲げて穴を空ける必要があるので、取り付け前にマザーボードに合わせて塞がっているポートがないか確認しましょう。

手順10と手順11は順序が逆でもかまいません、むしろ繋ぐコードが長い場合はケースの外で作業をした方が簡単で確認もしやすくなります。
特にケースから伸びているフロントI/Oのケーブルは細かく、わかりにくいのでできる限りケースの外で作業したい部分です。

手順12で新しいマザーボードのドライバをインストールします。
この時、Windows7ならば、すんなりOSが起動することも多いのですが、XPだとOSが起動しない場合もあります。
そういった場合はOSの再インストールが必要になることもあります。
事前のバックアップを取っておくようにしましょう。

このページの最上部へ