長らく覇権を握っていた、Intel Core i7-4790をはじめとするHaswellコアの第四世代Core iシリーズの後継が登場してからちょっと時間が経ち、価格や評価などがようやく出揃いました。
後継はIntel Core i7-6700をはじめとする、Skylakeコアの第六世代Core i7シリーズです。
Skylakeはそのまんまスカイレイクと読みます、スカイラークじゃありません、スカイラークネタは登場までに散々使い古されたネタです。
Haswellは途中で4770から4790に主役が移ったりしながら長いことパソコンのハイパフォーマンスモデルとして君臨してましたが、後継が出てきた今はどういう情勢でしょうか?
比較などしながらまとめていきましょう。
i7の比較
型番 | Core i7-4790 | Core i7-6700 |
---|---|---|
動作周波数 | 3.6-4.0GHz | 3.4-4.0GHz |
最大メモリ容量 | 32GB | 64GB |
対応メモリ規格 | DDR3-1333/1600, DDR3L-1333/1600 @ 1.5V | DDR4-1866/2133, DDR3L-1333/1600 @ 1.35V; |
メモリー帯域 | 25.6GB/s | 34.1GB/s |
グラフィック | HD Graphics 4600 | HD Graphics 530 |
TDP | 84W | 65W |
動作周波数は、ターボ時の最大は同じですが、ベースが下がっています。
メモリ周りは、大きく変わり、DDR4メモリに対応しました、DDR3Lメモリにも対応していますが、基本はDDR4を使うことになるでしょう。
メモリは帯域も広くなり速度はアップした印象です。
TDPは84Wから65Wと大きく下がりました、TDP65Wといえば、Core2Duoと同じぐらいです。
製造プロセスが22nmから14nmと細微化されていて、省電力化に磨きがかかっています。
実際の使用における性能的には2割増しぐらいです。
現在4790を使っているのなら、わざわざ6700に買い換えるほどではありませんが、今から買うなら6700でいいでしょうね。
もちろん、6700にも4790同様オーバークロックに対応した倍率フリーの6700Kがあります。
ゲーム用途ならばより高性能にできる6700Kも狙い目です。
i5の一部比較
型番 | Core i5-4690 | Core i5-6600 |
---|---|---|
動作周波数 | 3.5-3.9GHz | 3.3-3.9GHz |
最大メモリ容量 | 32GB | 64GB |
対応メモリ規格 | DDR3-1333/1600, DDR3L-1333/1600 @ 1.5V | DDR4-1866/2133, DDR3L-1333/1600 @ 1.35V; |
メモリー帯域 | 25.6GB/s | 34.1GB/s |
グラフィック | HD Graphics 4600 | HD Graphics 530 |
TDP | 84W | 65W |
Core i5は種類も多いので、人気どころの3万円弱のモデルを比較します。
といっても、違いは先に比較したi7とほとんど変わりません。
やはり省電力化がポイントですが、性能的にはあんまり変わらない様子です。
あんまり買い替えには魅力がないというのが正直なところで、現状第四世代のCore i5を使っている人は、わざわざ6600搭載パソコンを購入する必要はないでしょう。
どうせ買い替えるなら、上位のCore i7-6700を狙いたいところです。
Core i5-6600はもっと旧世代から買い替える人が、予算を抑えつつゲームができる程度のCPU性能が欲しいという場合に選ぶ、消極的な選択肢といった印象があります。
ちなみに、6600にも倍率フリーのオーバークロック向けの6600Kがあります。
CPU自体の新旧価格はあんまりかわらない。
今回のHaswellとSkylakeに限ったことではありませんが、IntelのCPUは新旧であんまり値段が変わりません。
店頭での実売価格を見ても、4790と6700の価格差はどこの店でもせいぜい1000円2000円といったところでしょう。
CPUは旧製品だからといって値下げするわけでもなく、新旧同じ値段で販売して、旧製品は徐々にフェードアウトしていくのが基本です。
「値段同じだと旧製品売れないじゃん」と思う人も居るでしょう。
当然の疑問ですが、CPUの値段は変わらなくとも、対応しているマザーボードやメモリなどは旧製品はだいぶ値下がりしているので、パソコン丸ごとで考えると旧製品のほうが安くなる傾向があります。
特にメモリに関しては、SkylakeはDDR4メモリを使用するため、登場から時間が経ちかなり低価格になったDDR3メモリと比べると大きな価格差があります。
最新の性能と、枯れた技術はどっちいい?
また、安さだけでなく、安定感なども長期的に運用しているものは有利な場合があります。
最新の技術はまだバグがすべて洗い出されているわけではないので、思いがけない落とし穴があったりすることもあります。
大手の企業で大量導入する場合は、すぐさま全数最新の環境に入れ替えるということはあまりなく、部分的に導入して、評価してから本格的な導入ということもよくあります。
もっとも、最新のCPUに何か問題があるということはほとんどないのですが、その他のチップやメモリ周りを含めたトータルの環境が全く変わった状態で、今までの業務をそのまま出となると、何かとトラブルも起こりがちです。
しかしながら、それはあくまで企業レベルの話で、個人ならいち早く最新の環境を手に入れるメリットというか、優越感は他に代えがたいモノがあります。
最新環境のトラブルも、企業なら全社でどうするか対応しなければならなかったりしますが、個人レベルなら案外なんとかなるものです。
第五世代のCore i7はどこいった?
ここまでの話で、第四世代の後継がなぜ第六世代? 第五世代はどこいった?
と思う人も居るかと思います。
実はBroadwellコアという第五世代もあるのですが、どマイナーな世代です。
Core i7では5775Cと5775RというCPUがあり、このうち5775Rは交換できない組み込み向けで、実質Core i7-5775Cと、下位のCore i5の5675CというCPUがあるというだけのホントにマイナーな世代です。
性能的には第四世代から微妙の性能アップ、大きく違うのは内蔵グラフィックス機能で、この点は大幅に性能アップしています。
TDPは第四世代のHaswellより低い65Wですが、実際の消費電力はHaswellより高めです。
マザーボードは第四世代と同じ、LGA1150ソケットで、第四世代のモノが流用できます。
これだけ聞くとアップグレードに良さそうですが、実際はSkylakeの発売がもう少しに迫った頃に発売し、世間の注目は第六世代にばかり向いていました。
使用するにも既存のマザーボードの場合、UEFIのアップデートが必要とちょっとややこしい作業が必要だったりもします。
どちらにせよ、今更選択肢として考えるには微妙な選択です。
まとめ
満を持して登場したSkylakeも登場から半年経った今。
状況をまとめてみました。
その結果、結論から言うと、第四世代のCore i7-4770や4790を使っている人は別に買い替えなくていいでしょう。
マザーボード、CPU、メモリの3点を替える必要があり、メモリも出たてで高いのでアップグレードのコストパフォーマンスはかなり悪いです。
しかし、今BTOでパソコンを買うつもりなら価格差など考慮しても第六世代のSkylakeを選ばない理由はありません。
自作で第四世代のマザーボードが値引きだとか、BTOで旧製品の特価などは第四世代を選ぶのも悪く無いと思いますが、「今更感」があるのは否めません。
とりあえずは、新たに買うなら第六世代SkylakeのCore i7、今第四世代のCore i7を使っているなら買い替えなくてもいい、と結論になります。
とはいえ、なんだかんだで、「最新のCPU」という言葉は魅力的です。
合理性を追求して買い換えないでそのまま使うというのもパソコンらしい判断ですが、ロマンを追いかけるのもまたパソコンです。