誰でもインターネットを使えるようになって、かなりの年数が経ちました。
最初はアメリカの軍事技術だったものが民間に開放され、最初はダイヤルアップ接続でネット接続にも高い電話代がかかっていたものが、ISDNやADSLなどの定額常時接続の回線が使えるようになり、より高速な光回線になり、一方で携帯電話が普及してネット接続可能になり、携帯できながらパソコン並にネットを活用できるスマホが登場し…
という歴史の話はそこそこに、要するに今は誰でもネットが使える時代です。
このサイトではよく、ネットの危険性がどうのこうの言っていましたが、今回は別の意味での自己防衛、ネットでのマナーについてのお話です。
懐かしい言葉でネットのエチケットこと「ネチケット」今の言葉で正しいネットの使い方こと「ネットリテラシー」
これを守って自分も他の人も楽しくネットを使いましょうという話です。
今回紹介するのは真新しい考えではなく、むしろ古めの考え中心になります。
めんどくさそうと思わず少しの間お付き合いしてください。
2ちゃんねるはネットマナーの宝庫
いきなり信用ならなそうなことを言い出しますが、もうちょっとだけ根拠は話を聞いて下さい。
世間のイメージでいうと2ちゃんねるは、匿名掲示板だから悪口罵詈雑言言い放題、
犯罪予告や密告じみた暴露話、情報流出などあんまりいいイメージがありません。
しかし、だからこそ反面教師として学ぶ面もあれば、マナーの悪い人に対する対策のような自治の仕方も学べます。
もう使い古したであろう話からいろいろ学びましょう。
「半年ROMってろ」「半年ROMれ」
実際には2ちゃんねるでも最近ではめっきり聞かなくなったこの言葉。
意味についてまず説明すると、ROMとは「Read only member」の略、書き込みはせずに読むだけの人のことです。
主に新しくやってきた人に対する言葉で、半年間は読むだけにしておけ、それから書き込みしろというような意味合いです。
何故半年間は書き込まずに読むだけに徹しなければならないかというと、2ちゃんねるの板やスレッドはローカルルールが多く、独自の風習も多くあります。
それなのに誰でも書き込めるという環境のため、外部からそういった礼儀知らずの新参者が多くやってきます。
こういった礼儀知らず新参者に優しく何かを教えるということはぜす、とりあえず空気を読め、この状況を察してくれ、という意味合いも含めつつ、適当な具体案として「半年romってろ」という言葉を送ります。
一見冷たい言葉に思いますが、ネット上のすでに出来上がっているコミュニティに対してはこの「半年romる」という行為は実際に半年間でなくとも非常に有効です。
言葉をもうちょっと良いように言い換えると「我々のすることを見て学んでから仲間に入ってくれ」という言葉です。
単なる排他的な言葉はないのです。
とりあえずコミュニティの雰囲気や暗黙の了解を知る間は、下手なことを書き込まずにとりあえず様子を見るだけにしておくと余計な摩擦を生まずに済みます。
また、多くのネットコミュニティには、ユーザーが作成した初心者ガイドやFAQなどが用意されています、それを読んだりROMったりしながら、そのコミュニティ独自のルールを学び、空気を知ることが肝心です。
最近ではあんまり聞かなくなった言葉ですが、今でもこの半年ROMという行為はネットコミュニティにおける空気を読むために重要なマナーではないかと思います。
「ググレカス」
これは今でもよく見かける言葉です、むしろ半年ROMってろの言葉を見かけなくなったからこそ見かけるようになったのではないかと思います。
ググれというのは、「Google検索する」という意味の「ググる」の命令形です。
要するに、「Google検索しろ」という言葉に加えて、「カス」という罵倒の言葉を付け加えている訳です。
質問ばかりする「教えて君」に対する対応なのが、この「ググレカス」です。
母音を省略して「ggrks」と書く場合もあります。
質問者の質問に対して答えてあげるのは、ネットマナー上は必ずしも正解ではありません。
なぜなら、質問に答えてくれることを知った質問者が、延々と質問を繰り返すようになるからです。
そして、そういった人の質問はだいたいの場合Google検索すれば出てくるようなことがほとんどです。
口汚く言われてしまいますが、これは「カス」と言われても仕方ないですね。
カスの部分はともかくとして、「質問ばかりしてないで自分で調べて見ようね」という温かい言葉なのです。
こういった事は、半年ROMの文化があれば、減ると思います。
スレッドやコミュニティの空気を知っていれば自ずと、むやみな質問をしていい場かどうか判断もつくことでしょう。
逆に、空気を読んで場の流れを知った上での質問なら、邪魔にはならず、むしろ適度な話題の提起になることも少なからずあります。
また、多くのコミュニティには質問で溢れて本題ができないという事態を避けるために、質問掲示板などの「質問していい場所」というのも用意されています。
質問をしたいときはそういった場所を利用しましょう。
ヤフー知恵袋のような質問をするためのサイトなどもあります。
質問をしたいときは、質問するにふさわしい場かどうか考えましょう。
また、ことパソコンにおいて「詳しい人」というのは多くを知っている人だけではなく、「検索が上手い人」の場合もあります。
人に聞いてばかりでなく、とりあえずGoogle検索を利用することで、人に聞いてばかりの万年初心者から、詳しい人になれるという成長も見込めます。
人間の成長過程において「なんで?」を連呼しても許されるのは言葉を覚え始めた幼児期の時のみ、早く成長しましょう!
「荒らしに構うヤツは荒らし」「荒らしはスルーで」
非常に難しいのがコレ、そしてインターネットを使う上でもっとも必要ではないかと思うことです。
前の2つは空気読め、ここはお前の質問に答える場じゃないということに注意しろという話でした。
そういった人はコミュニティから不本意ながら排除される定めにありますが、最初っからコミュニティに馴染もうという気がない、というか、そもそも悪意を持ってこちらの邪魔をしようとする人が少なからず居ます。
そういった荒らし行為は、コミュニティが多少大きくなると必ずと言っていいほど出現します。
2ちゃんねるのような匿名掲示板だと居て当たり前、TwitterやFacebookを始めとした会員登録が必要なサービスでも荒らしに絡まれることは多々あります。
そういった荒らしへの最も有効な対処法は「反応しないこと」です。
徹底して無視を決め込めばやがて諦めて居なくなります。
荒らしに対して相手をするとさらに調子にのって荒らし行為が激しくなるので相手をしないことが正解です。
「こういうけしからん輩は間違いを正してやらねば!」と思っているあなた、注意して自重するような話を聞く人はそもそも荒らしをしないので言うだけ無駄です。
むしろ、荒らしは反応されると調子に乗るという性質があるので、注意しようとしているあなたも荒らし行為を加速させる荒らしです!
荒らしに構うのは荒らしというのはそういうことです。
無自覚な荒らし
「悪意を持ってこちらの邪魔をする」と言いましたが、実は必ずしもそうではありません。
というよりも、世にはびこる荒らしの大体は、自分が荒らしになっているとは思っても居ない「無自覚な荒らし」が大半だと思われます。
別に荒らすつもりはなかっても、大勢の意見が自分と合わなかったりするとついつい「無自覚な荒らし」に変貌してしまいます。
特に自分が好きなモノが貶されていたり、反対に自分が嫌いなモノを持ち上げられていると「お前たちはおかしい!」とさも自分が正しいと思い込んで荒らしとなってしまいます。
こういう人を説得するのは、ある意味自覚のある荒らしを説得するより難しいです。
なにせ自分が悪いとは思っていないわけですから…
指摘すると、お互いあっという間に口喧嘩になり、放置すればすぐ消える荒らしも2人の荒らしになって大炎上不可避です。
現実だと周りの反応を見てふと我に返る状況でも、相手の顔色が見えないネット上のやりとりでは延々と罵り合いを続けてしまうことも多々あります。
だからこそ、相手にせずにスルーすることが肝心なのです。
また、多くのコミュニティでは、荒らしを始めとしたマナーのないユーザーに対するNG機能があります。
Twitterのブロックやミュート機能、ニコニコ動画のNGコメントやNGユーザー機能。
2ちゃんねる事態にはNG機能はありませんが、2ちゃんねるの専用ブラウザにはNG機能があります。
そういった機能を利用すれば直接反応せずに、スルーできます。
これが2ちゃんねるの「荒らしに構うのは荒らし」から発展した「黙ってNG追加」です。
最後に
今回は2ちゃんねるでよく言われる、もしくは過去によく言われていた言葉からネットマナーを学びました。
実際のところは、ネット上ならどこでも同じような注意と配慮が必要であり、可能です。
ネットのコミュニティもリアルのコミュニティも、相手に配慮することには変わりありません、ただ相手の顔が見えないだけにコミュニケーションは難しくなります。
また、同じように相手からもこちらの顔が見えません。
自分がどんなに偉くても、未熟であっても相手には関係なく、こちらの態度でのみ判断するしかないのです。
だからこそ、その場にあった態度を取る必要があり、そのための半年ROMなのです。
利用規約に年齢制限がなければ、中高生でも大人のコミュニティに参加できます、しかし、そういう場合は自分が中高生ではなく、きちんと大人に見えるように振る舞うのが最低限のマナーでしょう。
そういう振る舞いがきちんとできればコミュニティはそういった若者を邪険には扱わないでしょう。
逆もまた然りです、大人が中高生に人気のゲームなど若いコミュニティに参加する場合に「自分は大人だから」という態度を取ると「大人なら空気を読め」「おっさんは邪魔だからどっかいけ」となることは火を見るよりも明らかです。
画面の向こうの相手の顔を想像する、画面の向こうからこちらの顔がわかるように発信する。
お互い顔が見えないから難しいように感じますが、冷静に相手の書き込みをよく読んで、こちらの意見もよく考えてから書き込める分だけその点は容易だったりもします。
嫌なユーザーに出会ったらどうするか、自分が嫌なユーザーにならないようにどうするか、その点を考えられるようになるとどこへ行っても馴染むことができるようになるでしょう。
リアルとはちょっと違うけど、リアルと同じように相手に対する気遣いが必要なネットのコミュニティ、みんなが気持ちよく使うというのは理想論としても、少なくとも自分が邪魔者にはならないようにしたいですね。