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データ関連のトラブルでは、HDDにはまったく問題ないにもかかわらず、Windowsのトラブルによりパソコンが起動できず、データは無事にも関わらず読み出せないということがよくあります。
システム復元や修復ではすぐに問題を解決でき、基本的には保存されているデータも無事なのですが、少なからずデータがさらに破損する危険性があります。
ここでは、HDD(ハードディスクドライブ)を使わずにパソコンを起動する方法を解説します。
<このページの目次>
データ関連のトラブルでは、HDDにはまったく問題ないにもかかわらず、Windowsのトラブルによりパソコンが起動できず、データは無事にも関わらず読み出せないということがよくあります。
システム復元や修復ではすぐに問題を解決でき、基本的には保存されているデータも無事なのですが、少なからずデータがさらに破損する危険性があります。
ここでは、HDD(ハードディスクドライブ)を使わずにパソコンを起動する方法を解説します。
<このページの目次>
データ関連のトラブルでは、HDDにはまったく問題ないにもかかわらず、Windowsのトラブルによりパソコンが起動できず、データは無事にも関わらず読み出せないということがよくあります。
*セーフモードや前回正常起動時の構成を試しても再起動を繰り替えすといった症状が出る場合もよくあるトラブル
この場合はWindowsのシステム復元、修復、最悪の場合はリカバリや再インストールをすることになります。
システム復元や修復ではすぐに問題を解決でき、基本的には保存されているデータも無事なのですが、少なからずデータがさらに破損する危険性があります。
リカバリや再インストールではもともとOSの入っていたドライブ(大体の場合はCドライブ)のデータはすべて消えることになります。
そのため、保存しているデータが重要な場合はシステム復元や修復などの作業をする前にできるかぎりデータを退避させておくべきです。
ここで問題となるのが「Windowsが起動できないのにどうやってデータを退避させるか」ということです。
こういった場合に有効なのが、HDDには変更を加えずCD/DVDやUSB機器などから起動できるOSです。
特に「Linux」を利用したOSがよく使用されます。
パソコンを使用するにはWindowsやMacintoshといったOSが必要になります。
そのOSの一つに「Linux」というOSがあります。
*Linuxのマスコット、ペンギンのTUX
Linuxは正確にいうと、OSのカーネルという中核の部分を指すのですが、このカーネルを使ったOSもそのままLinuxと呼称されます。
Linuxカーネルは大きな特徴として非常に「フリー」なソフトだということが挙げられます。
ここでいうフリーとは無料というだけの意味ではなく、改変や再配布なども自由という本当の意味でのフリーなソフトです。
改変や再配布が自由で、再配布の際に商品として代金を取ることも正式に認められています。
そのため、完全無料のフリーなOSから、信頼性を最重視した高価なサーバーOSまでさまざまなLinux OSがいろいろな団体、企業、グループから開発、リリースされています。
近年、スマートフォンなどに採用されているAndroidもこのLinuxを利用したOSとして有名です。
Windowsの代わりにパソコンを起動して、データを退避させるということが目的であれば、無料のもので問題ありません。
また、Linuxは中核の部分がフリーだということもあり、無料のものでも非常に充実した機能を持っています、中にはWindowsしか触ったことのない人にでも簡単に扱えるものがあり、ここで紹介するのもそういった種類のLinux OSになります。
改変や再配布が自由ということもあり、LinuxOSには非常に多くの種類があり、その中にはCDやDVDから起動できて、インストールしなくても使用できる「LiveCD」や「LiveDVD」というものもあります。
そういったLiveCDのLinuxを利用すればHDDのデータに変更を加えずにパソコンを起動することができます。
ここで紹介するような、CDからOSを起動してデータを退避させるような使い方の他にも、パソコンに変更を加えずに作業をするような使い方もされます。
例えば人からパソコンを借りて、中のデータをまったく触らずにWebの閲覧やオフィスソフトを使うような使用法もできます。
こういう方法をとれば電源を落とし、CDを取り出してしまえば元のPCにまったく影響を与えずに作業をすることが可能です。
*次項で説明するUbuntu
CDで起動してすぐに使える環境が整っている
話をデータ退避に戻しますと、このLiveCDでパソコンを起動して、内蔵HDDから外付けHDDなどに必要なデータをコピーして退避させるという利用法になります。
この他、Windows起動中はファイルの移動などができないWindowsのシステムファイルをコピーしたりというような使い方や、Windowsを起動せずにデータHDD同士でファイルを移動したりというようなこともできます。
ここでは、そんなLiveCDのLinuxから「Ubuntu」を紹介します。
LiveCDやLiveDVDのLinuxにも多くの種類がありますが、ここ数年でLiveCDとして使えるLinuxの中でも特に人気があるのが「Ubuntu」です。
*Ubuntuの日本語ページ
初心者から上級者まで使える、簡単でいてなおかつヘビーな使い方にも耐える、インストールが簡単でCD起動のままでも使える、いろいろなパソコンでそのまま起動できるといった特徴があり、今まで敷居の高かったLinuxOSがWindowsしか使ったことがなかったけどLinuxを試してみたいという層にヒットしました。
改変と再配布自由ということで、一時期はどのパソコン雑誌でも独自にカスタマイズしたUbuntuを付録にしていたほどです。
とっつきにくいイメージのあるLinuxですが、このUbuntuに関してはLinuxによくあるキーボードによるコマンド入力などが最小限で、ほとんどマウスで作業できるということもあり、Windowsしか使ったとこのない人でも簡単に使用できます、反対に上級者はだいたいの作業をキーボードとコマンドでこなすこともできます。
データの救出ぐらいならば特別な知識がなくとも、マウスだけでも行えるため、Windowsしか使ったことがない人でもそれほど抵抗なく作業ができるでしょう。
ウェブブラウザ、メールソフト、オフィスソフトなども標準でパッケージに入っているためWindowsが起動しないときは、とりあえずUbuntuのLiveCDを使い目下急ぎの作業だけ片付けるという使い方もできます。
Ubuntuの入手に必要なものは
・CD-RやDVD-Rの書き込みができてインターネットに接続されているパソコン
・Ubuntuのファイル
・空のCD-RもしくはDVD-R
この三つです。
Ubuntuのファイルは、公式サイトからダウンロード可能です。
日本語版の公式ダウンロードページ
http://www.ubuntulinux.jp/download
*日本語版ダウンロードページの画面
「日本語 Remix CDイメージのダウンロード」をクリックすると、ダウンロードできるミラー一覧が表示されるので、好きなところからダウンロードしましょう。
*いろいろなミラーサーバーからダウンロードできる、最新版の他、まだサポートの続いている旧バージョンも入手可能
「12.04」や「11.10」などのバージョンがありますが、これはリリースされた年月で「12.04」なら2012年4月に「11.10」なら2011年10月にリリースされたバージョンになります。
今回は現時点での最新バージョンである「12.04」で説明しますので、バージョンは12.04をダウンロードしてください。
ダウンロードしたファイルの形式はCDイメージの「.ISO」ファイルになっています。
このCDイメージをCDやDVDのライティングソフトを使ってCD-RやDVD-Rにイメージから書き込めばLiveCDの完成です。
ライティングソフトを利用したLiveCDの作成方法はまた後述します。
注意点としては「別にもう一台起動できるパソコン」が必要という点です。
一台しかパソコンを所有していない場合は、どこかでネットに接続できてCD-Rに書き込みができる光学ドライブを搭載したパソコンを借りる必要があります。
知り合い、公共の施設、ネットカフェなどでパソコンを借りて作成しましょう。
この他に、UbuntuのCDを手に入れる方法としては、雑誌や解説本などに付録としてついているものを使用する方法があります。
雑誌ならば千円前後、解説書などは数千円で購入できます。
この場合の利点は、使い方の説明が書籍に書いてあるため、わかりやすい説明書が付いているという点です。
この機会にUbuntuに興味をもって常用するつもりならば、こういった書籍から入手するのも悪くありません。
それでは、前項でダウンロードしたUbuntuのイメージからCDを作成する方法の説明に入ります。
ここでは、Windows用のフリーソフト「CDBurnerXP」を使用します。
名前はCDですが、DVDやBlu-rayにも対応している多機能なソフトです。
まずはソフトのダウンロードです。
CDBurnerXP公式ページ
http://cdburnerxp.se/ja/
*公式ページも日本語、FreeDownloaをクリックしてダウンロード
ダウンロードしたファイルを実行してインストールします。
*ダウンロードしたファイルを実行する
インストールはウィザードで簡単に行うことができます。
*よくあるウィザード式のインストール画面、インストールは簡単
この時、追加タスクの選択で「ISOファイルをCDBurnerXPに関連付ける」にチェックを入れておくとこの後の作業が簡単になります。
*ISOファイルを関連付ければ、ISOファイルをCDに焼くのが簡単になる
インストールが完了したら、ダウンロードしたUbuntuのISOイメージファイルがCDBurnerXPに関連付けされているので、ファイルを実行するだけで、CDBurnerXPが立ち上がりCDを作成する準備ができます。
*関連付けが済んでいるのならすぐに焼くことができる
後はパソコンに空のCD-R、DVD-Rを入れて「ディスクの書き込み」をクリックすればCD-Rにファイルにファイルが書き込まれてUbuntuのディスクの完成です。
*書き込みには少々時間がかかる
もし、CDBurnerXPインストールの時点で、ISOイメージファイルを関連付け指定をしなかった場合は、CDBurnerXPを起動し「ISOイメージの書き込み」を選択します。
*ISOイメージの書き込みを選ぶ、他のを選んでも書き込みはできない
書き込むISOイメージの選択で、保存しているUbuntuのファイルイメージを選択してください。
その後、同じように空のCD-R、DVD-Rを入れて「ディスクの書き込み」で完成です。
今回はフリーソフトの定番ライティングソフトとしてCDBurnerXPを例に説明しましたが、他のライティングソフトでも基本は同じです。
よくある失敗談として、ISOファイルをそのままCD-Rにコピーしてしまうという失敗例を耳にします。
ISOイメージから書き込んだ場合はCD-Rの中身はファイルが展開されて書き込まれています。
きちんとライティングソフトを使って「イメージから書き込む」ようにしましょう。
UbuntuをCDから起動するには、まず、BIOSやUEFIの設定で、CD/DVDドライブを起動ドライブに設定しなくてはなりません。
BIOSやUEFIの設定をするには、まず、パソコン起動時のメーカーロゴが表示されている画面で「F2」もしくは「Delete」キーを押します、どのキーを押すかはメーカーによって異なります。
なかなか反応しにくいため、軽く連打するのがポイントです。
作業の流れとしては、BIOS画面が開いたらBOOT設定を変更して、光学ドライブを1番目のBOOTデバイスに設定します。
BIOS画面は大きく分けて2種類、メニュー式のAWARD BIOSと、タブ式のAMI BIOSです。
この他、UEFIではマウス操作もできるGUIを採用しているメーカーもあります。
*メニュー式のBIOS画面、項目を選択して細かい設定画面を開く
*タブ式のBIOS画面、項目のタブを選んで設定する
メニュー式のBIOSでは「Advanced BIOS Features」の項目の中に「BOOT」に関するメニューがあります。
*BOOTに関する設定はAdvanced BIOS Featuresの中
表記はメーカー毎に変わってきますが、「1st BOOT Device」を「CD/DVD」や光学ドライブの型番などに設定します。
*1st BOOT Deviceを光学ドライブに設定する、表記はメーカー毎に違い、画面ではDVDドライブだがCDROMとなっている
タブ式のBIOSでは「BOOT」タブがあります、「BOOT」タブの中にあるBOOTの設定を同じように光学ドライブに設定します。
*BOOTタブに設定項目がある、こちらのAdvancedタブはまた別の設定をするので関係ない
*このBIOSの場合は上から順に優先度の高い起動デバイス「CD/DVD-ROM」に設定
最後に「F10」キーを押して設定を保存します。
*どっちのBIOSでも設定の保存はF10
起動デバイスを光学ドライブに設定すれば、光学ドライブに入っているLiveCDからUbuntuを起動することができます。
なお、この手順はWindowsのインストールディスクからOSを再インストールする場合にも同様の設定をします。
UEFIの場合もBIOSとほとんど同じメニュー式、タブ式ならば同様の手順でBOOT設定をします。
メーカーによってはマウス操作で設定できる場合もあります。
Windowsが起動できなくなった場合の緊急手段である、Linuxを使う方法、今回はUbuntuを使った方法をご紹介しました。
LiveCDで使えるLinuxいくつも種類がありますが、もっとも簡単なのがここで紹介したUbuntuを利用する方法でしょう。
作業の流れとしては
1.UbuntuのCDの入手
2.パソコンのBOOT設定を光学ドライブにする
3.CDからUbuntuを起動する
4.ホームフォルダーからドライブを選んでデータを退避させる
という流れになります。
現在の最新バージョンのUbuntuではLinuxでよくある「コマンド入力」というキーボード操作を一切行わなくてもデータの退避が可能となっています。
Windowsしか使ったことがない人でも、あまり抵抗なく作業できるはずです。
データの救出だけでなく、急ぎの用件がある場合にネット、メール、文書作成などすぐにできる予備の環境としても利用できます。
Windowsが起動できなくなって困った場合は一度Ubuntuを使うことを考えてみると良いでしょう。
BOOTデバイスを光学ドライブに設定し、UbuntuのCDを光学ドライブに入れた状態でパソコンを起動すれば、LiveCDでUbuntuが起動します。
この状態でUbuntuを起動すると「Ubuntuを試す」と「Ubuntuをインストール」の二つが選択できますが、ここで「Ubuntuを試す」を選ぶとUbuntuをLiveCDで使うことができます。
LiveCDでUbuntuを起動した画面です。
*GUIベースで基本的な作業はマウスだけで操作できる
アイコンやメニューの配置などはWindowsやMacintoshとは違いますが、ほとんどマウスだけで作業できるため、戸惑うことはないでしょう。
Windowsが入っていたドライブは左の「Launcher」と呼ばれるバーから、ホームフォルダーを選ぶとアクセスできます。
*左はWinodwsでいうクイック起動とタスクバーなどをあわせたようなLauncher
ホームフォルダーを選ぶと左のメニューにパソコンに接続されているデバイスの一覧が表示されています。
データを退避させたいドライブを選びクリックしましょう。
*デバイス一覧の中からアクセスしたいドライブを選ぶ
ドライブをクリックすると自動的に「マウント」という作業がされて、Windowsで開いた時と同じようにドライブの中身にアクセスできます。
データを他のドライブへ、ドラッグアンドドロップやコピーすることが可能です。
*ほとんどWindowsからアクセスしているのと同じ状態、ファイルを開いたり、コピーしたりも自由にできる
これで必要なデータを他のドライブに退避させましょう。
USB接続のフラッシュメモリや外付けHDDも簡単に認識できます。
*大事なファイルを退避させておくと再インストールも安心
Windowsの再インストールでデータが消えるのは、元々Windowsが入っていたCドライブだけなので、HDDのパーテーションを分けていたり、複数台HDDを搭載しているのならば、Cドライブ以外のドライブへデータを退避させるだけでもかまいません。
注意が必要なのは、Ubuntuの画面からは、Windowsで割り当てていたドライブレターが表示されないことです。
「ボリューム」や「ローカルディスク」などのドライブ名は表示されるので、あらかじめCドライブのドライブ名を変えていればすぐにわかるでしょう。
ドライブ名を特につけておらず、全部のドライブが「ボリューム」や「ローカルディスク」だった場合は、ドライブの中身を見て判別できます。
*WINDOWSのOSが入ったドライブの中身はだいたいこういった内容
必要なデータをさせれば、Windowsの再インストールなども気兼ねなく行うことができるでしょう。
LiveCDで使う以外にも、UbuntuをUSBフラッシュメモリにインストールする方法もあります。
LiveCDで起動すると出る選択肢で「Ubuntuをインストール」を選び、インストール先のドライブにUSBメモリを選ぶだけで簡単にインストールができます。
LiveCDは設定などが保存できずシャットダウンすると設定が元に戻ってしまいますが、USBフラッシュメモリにインストールすれば設定も保存することができます。
特にメールの設定を保存できる点は有用で、外で手元に自分のパソコンがない場合でもネットに繋がったパソコンを借りることができればメールを確認することが可能です。
借りたパソコンに一切履歴が残らないため、セキュリティ面でも心配ありません。
*メーラーソフトの設定を保存しておけば外出先でもメールの確認が簡単
USBフラッシュメモリから起動するには、BOOTデバイスを設定した時と同じく、BIOSで「1st BOOT Device」をUSBメモリに設定します。
1st BOOT DeviceがUSBメモリに設定されていれば、UbuntuをインストールしたUSBフラッシュメモリを挿せばUbuntuを起動できます。
*USBメモリから起動する場合はBIOSのBOOT設定をUSB機器に設定する
このUSBフラッシュメモリにインストールし、そこからUbuntuを起動する方法は光学ドライブのない小型のノートパソコンの場合などに有用です。
注意点としては、低価格なUSBフラッシュメモリでは速度が遅く、インストールしてもまともに作業できない場合があります。
USBフラッシュメモリは高速なモデルを選ぶようにしましょう。