寒い日にパソコンが起動しないって経験ありますか?

パソコンにとっては寒暖差は結構な過酷な環境です。

よく、夏場は暑さでパソコンの冷却が厳しく、熱暴走の原因となり不具合が起こると言われます。
パソコンのパーツは発熱し、その熱を空気中に発散するため、気温自体が高い夏場だと冷却が不足するということです。

もちろんそのとおりなのですが、冬場もパソコンのトラブルは起こります。
過度な寒さももちろんですが、気温が多少さがることで今まで隠れていた不具合が表面化することもあります。

寒い日は電源が入らない

冬場のトラブルで多いのが電源関係です。

というより、寒さに起因するトラブルはほとんど電源でしょう。

症状もズバリ

  • スイッチを押しても電源が入らない
  • 起動中に再起動してしまう

というような直球な症状です。

かくいう管理人も何度かこういう目にあっています。

コンデンサの経年劣化などで電源が弱っている

寒い日に電源が入りにくくなるのは、電源が弱っていることが原因です。

弱っているという状態を具体的に言うと、電源内部のコンデンサが経年劣化により容量が低下してしまっていることです。

気温の低下でその容量低下が表面化して、負荷のかかる起動時に容量不足となってうまく立ち上がらないという状態に陥ります。

こういう状態になったパソコンの電源は寿命が近いといえるでしょう。

コンデンサは暑さで劣化し、寒さで性能が低下します。
夏で消耗して、冬に問題が顕在化することが多いようです、

一時的な対処法

この寒い日に電源が入りにくいという症状を一時的に対処する方法はいくつかあります。
ただし、あくまで応急処置的方法ですので、寒い日に電源が入りにくいという症状は寿命が近いということなので、電源の交換を視野に入れておきましょう。

一時的に温める

寒い時に電源が入りにくいということなので、寒さを凌げば一時的に改善することがあります。

方法としては、エアコンを入れて部屋を温める、ドライヤーの温風でパソコンの電源がある周辺を温めるという方法です。

エアコンを使う方法は時間がかかりますし、ドライヤーで温めるという方法は、熱が他の部位への悪影響を与えるという難点があります。

また、パソコンパーツは基本的に放熱するように設計されているので、外から温めることは考えられていません。
きちんと狙ったとこだけ温めることも難しいし、他の部分がどんな影響があるかもわからないので気をつけましょう。

一時的に負荷を減らす

電源が弱って容量が低下しているのが原因ですので、パソコンの消費電力の容量を減らして一時的に対処する方法もあります。
ただし、この方法は結構めんどくさい上に、実行不可能な場合も多々あります。

方法としては

  • HDDなどドライブを減らす
  • グラフィックボードを外す

などがあります。

ドライブを減らす

HDDを多数搭載しているパソコンの場合は、一時的にHDDの台数を減らすというのが有効な手段です、この他光学ドライブも外しておくといいでしょう、

パソコンから外さなくてもドライブから電源ケーブルを抜けば大丈夫です。
HDDは回転が始まる起動時に大きな負荷がかかるので、台数を減らすことはそれなりに効果的な方法です。

起動してある程度時間が経って電源が温まったら一時的に、スリープさせて再びHDDを接続するという荒業もあります。

グラフィックボードを外す

提案しておいてこういうのも何ですが、こんな方法実行する人も居ないでしょうが…

オンボードで映像出力のあるパソコンの場合はグラフィックボードを外すという方法もあります。
ハイエンドグラフィックボードを普段使っている人は、消費電力の低いローエンドのグラフィックボードに付け替えるという手もあります、もちろん持っていたらの話ですが。

ただし、この方法はグラフィックドライバの関係でいちいち着けたり外したりが面倒なので、オススメできません。

同じメーカーのローエンドグラフィックボードに載せ替えるのならばドライバの入れ替えは必要ない場合もありますが、作業は結構めんどくさいです。

ちなみに、ローエンドグラフィックボードに付け替えるから買ってこようと思っている人は思いとどまってください、性能の低いグラフィックボードを買うぐらいなら新しい電源を買いましょう。

一度電源が入ったら電源を落とさない

経験上になりますが、寒い時の電源トラブルの問題は起動時だけの場合が多いです。
なので、一度電源が入ったらしばらく電源を落とさないでそのまま使うという方法もあります。

温めたり、負荷を減らして起動して温まったらHDDを接続するためにちょっと電源を落とす程度にして、そのまま使おうという方法です。

幸い、気温が低いので長時間稼働にしても冷却の問題はありません、そういう問題ではありませんが。

とりあえず、片付けなければならない作業をしたり、バックアップなどを取っておいたりしたりとやることをやっておきましょう。

ただし、やはり電源が弱っているには違いないので、CPUやGPUに負荷のかかる作業をするとパソコンが落ちる可能性があります。

根本的な原因解決をする必要があるでしょう。

他のパーツへの負荷もかかる

電源がこのような状態でパソコンを使用していると他のパーツへの負荷も考えられます。
なかなか起動せずになんども起動と終了を繰り返しているとSSDやHDDへ深刻なダメージが蓄積します。
これらのパーツは、もともと寿命があるパーツですが、その寿命が一気に縮まります。

不安定な電力供給が続くと、CPUとグラフィックボード、マザーボード、メモリにも悪影響です。
これらのパーツは安定起動していると滅多に壊れませんが不安定な状況が続くと一気に故障するリスクが高まります。

特にマザーボードあたりに被害が及ぶと、故障原因の究明も難しくなりますので、電源の不調だけで済んでいる間に対処することが大切です。

解決手段は電源交換

この問題の解決手段は電源交換だけです。
温めたり、負荷を減らしたりは一時しのぎなので、電源を交換するより他はありません。

むしろ、普段は一切表面に出てこない電源の交換目安であるとして捉えるのがいいでしょう。

電源の規格と容量を確認して、新しいものを購入して交換するというのが最善策です。

電源の規格はケースの大きさによって変わりますが、

  • 大型のタワーの場合はATX電源という規格
  • 小さめのタワーの場合はATX電源かSFX電源という規格
  • 小型のスリムタワーではTFX電源という規格

になります。

たまに独自規格の場合があるので、そういう場合は思い切ってケースごと買い換えるという荒業もあります。
そこまで思い切る人はあんまり見かけませんが、たまに居ます。

管理人が遭遇した体験

この冬になると電源が入らなくなるトラブルは、実を言うと管理人は3度ほど遭遇しています。

1度目

1度目は初めて買ったパソコンが、何度目かの冬にこの症状になりました。
もともと今より電源の品質に気を使わない時代であり、中古で買った本体だったこともあってそんなに耐久性が無かったのでしょう。

その時に編み出したのが電源のあたりを温める技で、当時はふとん乾燥機を使っていました。

その時は、結局電源交換ではなく、ショップブランドのヨンキュッパモデル、スリムタワーのパソコンに買い替えました。
家族共用のパソコンということで、全員1万円ずつ出して、そういう結論になりました。

2度目

2度目はそのパソコンで起こりました。
ショップブランドのヨンキュッパモデルということもあり、やはり品質も悪かったのでしょう。
その時はもう自分用のパソコンを所有していたので、正直なところ、どうでも良かったのですが、兄から「修理できないか?」と頼まれたので対処しました。

前述の通りスリムタワーのモデルで、TFX電源をほとんど店頭で見かけなかったので、ケースごと交換する荒業修理にしました。
そう、たまに居るそこまで思い切る人とは何を隠そう管理人自身です。

展示処分品のミドルタワーケースを500円ぐらいで買ってきて、余っていたATX電源を取り付けて交換しました。
結果としては快適になりましたが、大きさが気に入らなかったのか、兄が引っ越す時に実家に置きっぱなしにしていきました。

3度目

3度目がつい最近の出来事です。
中身を入れ替えながら長年使っていたパソコンの電源がついに不調になりました。

比較的高品質なモデルで、もう7年ぐらい365日毎日平均15時間ぐらい電源入れっぱなしで安定稼働していたのですが、さすがにこの冬の寒さ音を上げたようです。

間の悪いことに、時間が無い時にこのトラブルに見舞われ、しかもそのパソコンでしかできない作業があり、温め作戦も負荷軽減作戦も通用しないという状態でした。

ふと、あまり使ってないサブマシンに同じ電源を搭載していたことを思い出して、そっちから持ってくることにしました。

サブマシンの電源を外して、メインマシンの電源を外して、サブマシンから外した電源を取り付けるという作業です。

文字で書くと簡単ですが、サブマシンから電源を外すという作業もあったため、恐ろしくめんどくさい作業でした。

(焦ってて気が付きませんでしたが、作業風景画像を撮っておけば良かったとちょっと後悔)

電源は外すのも面倒な作業なので、読んでいる人は真似しないで新しい電源を買ってくることをオススメします。

大まかな交換手順

簡単に交換手順を説明します。

手順1、コンセントを抜いて放電

まずは、パソコンのコンセントを抜きましょう。
パソコンを横に寝かせたり立てたりするので、他に接続している外部ケーブル抜いた方が作業はしやすいです。

コンセントを抜いてもパソコン内に電気が溜まってたりするので、数分間放置しましょう、コンセントを抜いてから電源スイッチをポチポチ押すという方法も昔ありましたが、あんまり意味がないそうです。

冬場は作業する本人の体にも静電気が溜まってたりするので、机の脚とかの金属部分に触って体の静電気を抜いておきましょう。
セーターとか静電気が起きやすい服を着ている人は予め脱いだ方が安全です。

手順2、元の電源のケーブルを外す

基本的なことの次に、パソコンの電源交換手順はまず、現在使っている電源を各パーツから外すことから始まります。
接続しているコネクタを外すことです。

電源と接続しているパーツのコネクタは

  • マザーボード、最低2箇所
  • グラフィックボード、0〜2個
  • HDD、SSD、光学ドライブなどそのたドライブ、各1個
  • その他ファンや拡張カードなど

といったところです。
パーツの数が増えるほど大変で、ケースが小さいほど作業がし辛くなります。

特に難しいのがマザーボード、CPU横の8pinコネクタは大型のCPUクーラーを取り付けていると影に隠れて外しにくいことがあります。
古いパソコンだとこのコネクタは4pinだったりもします。

電源ケーブルを外す際に他の邪魔なケーブルを外しても構いませんが、あとでちゃんと戻すようにしてください。


↑左上のコネクタ、ここが抜けているとうんともすんともいわなくなる。

手順3、電源をケースから外す

ケーブルを全て外したら、電源自体をケースから取り外します。
電源はケースの上の方にネジ4本で止まってます。

パソコンを縦に置いたままネジを外すと電源が物理的に落ちるので、横に寝かしてから作業します。
片手で支えながらもう片手でネジを外すという器用な方法もありますが、落ちたらCPUクーラーと各種ボードに直撃するので危険です。

ちなみに、最近は電源が下側にあるケースが増えているので、そういったケースの場合は落とす心配がありません。

この時、ネジを無くしやすいので注意しましょう。

手順4、新しい電源をケースに取り付ける

今度は新しい電源を取り付けます。

ですが、その前に、広いところで一度どこにどのケーブルを接続するか確認しておきましょう。
また、前述のCPU横の8pinは差し込みにくいので、ケースに電源を取り付ける前に、これだけ挿しておくのもいいでしょう。

電源は最初の2本ほど留めるまでは片手で位置を固定しながら、もう片手でネジを締めることになるかと思います。
なので、外すときと同様に落とさないようにケースを横に寝かしておくようにしてください。

手順5、各種ケーブルを接続する

電源をケースに取り付けたら、各種ケーブルを接続していきます。
正しく守る順番は特にありませんが、やりやすい方法としては太いケーブルと、長く伸ばさなければならないケーブルから先に済ませましょう。

具体的には

  • マザーボードの8pinと24pinケーブル
  • 電源から遠い位置にあるベイのドライブ
  • 電源から遠い位置にあるボードの補助電源

これらは優先的に挿した方が賢明です。

細いケーブルや、電源の近くのケーブルは後からでもなんとかなりますが、太いケーブルや遠いケーブルは他のケーブルが邪魔になって挿しにくい時に困ります。

この調子で元の電源と同じように接続します。

手順6、起動確認

接続したら、ケースの蓋を開けたまま、一旦起動確認します。
ちゃんと電源が入るか、認識しないドライブはないか、全部のファンが回っているか、これらの確認をします。

上手くいかない時は、どこか挿し忘れているので、再度確認です。

まったく起動しない場合は、マザーボードの8pinと24pinのどちらかを忘れています。
動いたけど画面が映らないという場合は、グラフィックボードの補助電源の挿し忘れか、もしくはモニタのケーブルを外したまま忘れているかです。

認識しないドライブがあった場合は、そのドライブの電源ケーブルと、SATAケーブルなどを確認しましょう、電源ケーブルを外した時に一緒に外れてしまったかもしれませんので、挿し直してみましょう。

回らないファンがある場合は、ちゃんと接続しているか確認です、ファンのケーブルはいくつものファンをまとめて繋げるように、オスメス両方付いている場合があり、ファン同士では接続しているけど、どのファンも電源やマザーボードに繋いでなかったということがたまにあります。

ありがちなのが、電源を外す時についでに外したケーブルをそのまま忘れてたというパターン、電源と直接関係ないので忘れがちです。

手順7、邪魔なケーブルの整理

起動確認したら、いったんまた電源を切り、コンセントを抜いてからケーブルの整理です。
全部のコネクタを使うことは有り得ないと思うので、余ったケーブルがあるはずです。

それらのケーブルを、空いているベイだとか、ケースの横の方にまとめて押し込んでおきます。
結束バンドなどがあれば余ったケーブルをまとめておくのもいいでしょう。

これらをそのままにしておくと、回っているファンに巻き込んでしまったり、空気の流れの妨げになったりしてしまいます。
邪魔にならないところに整理しておくのです。

ちなみに、最近の電源は、プラグイン電源という必要なケーブルだけを挿して使えるタイプが多いので、整理も楽になっています。

手順8、蓋を閉めて最終チェック

ケーブルの整理まで済んだら、蓋を閉めて最終チェックです。
ちゃんと起動するか確認しましょう。

さっき起動チェックしたので上手く行くはずです。
ここで上手く行かない場合は、だいたいコンセントかモニタのケーブルを挿し忘れています。

最初に外したケーブル類もちゃんと元通り戻したのか再確認です。

以上で電源交換は終了です。

その後のトラブル

管理人が経験した最後のケースでは、副次的な被害もありました。

温め作戦や負荷軽減作戦が上手くいかず、何度か電源を入れようとしても起動しないという事態が続いたため、OSを入れているSSDが起動してはすぐに落ちるという状態になったため、OSのデータが一部破損するという被害を受けました。

セーフモードでは起動するけど通常起動すると途中で起動途中で止まる、エラーチェックやシステム復元でも改善しないという、再インストール一歩手前な状況でしたが、インストールディスクを入れての回復コンソールから、スタートアップ修復でなんとか改善しました。

今回はなんとかなった例ですが、OSが修復不可能で再インストールが必要になる可能性もあった上に、SSD事態が損傷するかもしれませんでした。

一時的な応急処置としても、そういったリスクがあることを知った上で試してみてください。

3度のトラブルに見舞われて

この3度のトラブルを経験したことは、言い換えると、電源を3回も壊れるまで使ったということです。

最初の2度はすぐ壊れた印象ですが、3度目はずいぶん長持ちしたような気がしますし、実際稼働時間を計算すると十倍以上長持ちしたと思います。

結果的に故障して困ったわけですが、電源の品質は重要だと再認識した出来事です。

安い電源をとりあえず使うという方法もあるでしょうが、数年に一度の頻度でも激しくめんどくさい電源交換を何度もやりたくないし、トラブルは少ないに越したことはありません。

電源は価格が品質に直結し、安物買いの銭失いになりやすいので交換するなら品質を重視して選ぶようにしましょう。

特に、ドライブの台数が多い場合やハイエンドのグラフィックボードを搭載しているなどパソコンの消費電力が大きいのならなおさらです。

オススメ電源

最後に故障頻度の少ない電源をいくつかご紹介します。
値段はちょっとお高めですが、その分丈夫で安定しています。

めんどくさい交換作業が苦にならない人は、安物でもいいかもしれませんが、良い電源は値段は倍でも寿命は数倍だと覚えておいてください。

SeaSonic製

SeaSonic製の電源はどれもオススメです、使っている部品の品質も良く、長持ちします。
BTOのオプションで選べることも多いので、最初っからSeaSonic製の電源を選んでおくと安心です。

日本国内ではOwltechが代理店で、普通のパーツ屋さんでは売れ筋商品でだいたいのお店で扱っています。

ニプロン みなもっとさん

品質では最高峰の電源です、パッケージに「壊れません」と書いてるぐらい品質に自信があるメーカーです。
ただ、値段はかなりお高くなっていて、上のSeaSonicでも高級品なのにその倍の値段はします。

CORSAIR

メモリメーカーのCORSAIRは電源もいろいろ扱っています。
特に高級モデルのHXiシリーズとAXiシリーズは高品質なモデルが揃っています。

安い製品でも保証期間が長めだったりするのでオススメです。

避けたほうがいい電源

オススメはどれも高いので、安いオススメはないのかと聞かれそうですが、電源は値段が品質に直結するので、安いモノはそれなりです。

ですが、大雑把に明らかに悪い電源の見分け方を教えると

妙に軽い電源は避けたほうがいい

となります。

お店で同じ容量の電源をいくつか持ってみて、明らかに軽い電源があったら避けましょう。
軽い電源が全て悪いという訳ではありませんが、粗悪な電源は中の部品点数が省略されていて少ないので軽いことが多いです。

また、数字上のスペックは容量ぐらいしか差がないパーツなので、妙に安い製品も避けたほうが無難です。

まとめ

寒い時に電源が入りにくくなったら、その時は電源交換の時期が来ていると思ったほうがいいでしょう。

一時的な対処法はありますが、あくまで応急処置で、さらにリスクがあるということを覚えておいてください。

弱った電源をそのまま使うのは他のパーツへの悪影響があります。

交換する時は、規格と容量を確認して、ある程度品質も考慮すべきです。
作業はめんどうで、ケースが小さいほど難易度も上昇します、自力で交換できそうかどうかは交換する前に判断しましょう。

2017/02/10 18:57:10

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